【医療法人愛誠会 昭南病院 法人事務局長 鶴田光樹】
これまでお伝えしてきたように、医療資源の乏しい過疎地域にある当院では、職員を確保するにも県外を含めた他医療圏に頼らなくてはなりません。当地に縁もゆかりもない医療従事者に「この病院で働いてみたい」と思ってもらうには、きっかけが必要です。数あるきっかけの中で一番信用できるものは何か-。実際に当院で働いている職員からの紹介だろうと思います。職員が自分たちの組織を誇ることができなければ、大切な友人・知人に薦めることはできません。当院がこの地で存続していくためには、現在働いている職員にとって魅力ある病院にすることが「基本の『き』」となります。
そのためにはぐくんできたのが、「本音で語り、本気で行動する」「考えたことは即提案・即実行」という院内の文化(職場風土)です。コミュニケーションを活発にするため、それこそ職員同士のあいさつ運動に始まり、 この連載で紹介した1泊2日の合宿 などの効果もあって、こうした職場風土はここ数年で定着し、職員自らが「魅力ある病院」に向かって行動するようになってきました。それがまた、職員のやる気を引き出す源泉になっています。「活気がなく、職員にどこかあきらめた感じが漂い、何とも言えない絶望感があった」と現院長が話す約15年前と比べて、大変な違いです。
この職場風土を具体的な形に落とし込むため、改善提案の承認プロセスは迅速化を図っています。通常、当法人のような500人以上から成る組織では、起案者が上長へ相談し、段階的に職位決裁者の承認を得て、最終的に「採否」が判断されると思います。当院でも同様のルールに基づいた決裁はしますが、基本的には、「ES・CS向上につながるならOK!」という前提で、スピーディーに事を進めます。即決裁が必要な案件は毎週開催される運営ミーティング(部長以上の幹部会)の承認をもって「GO」とし、書面での決裁は事後に回します。
こうして、職員自らが考え、行動して「魅力ある病院づくり」を行った事例を2点ご紹介してみたいと思います。
次回配信は5月26日15:00を予定しています
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