【株式会社メディチュア代表取締役 渡辺優】
■看護必要度マネジメントは急性期の重要事項
「重症度、医療・看護必要度」(以下、看護必要度)の評価は、急性期病院において重要なマネジメント対象である。特に7対1入院基本料を算定している病院では、基準を満たせない場合、危機的な減収減益になるだろう。9月21日掲載の本連載「改定見据え、看護必要度データの精度向上を」において、マネジメントと評価精度の向上をすべきと申し上げたのだが、“舌の根も乾かぬうちに”看護必要度の評価不要論を述べてみたい。
2016年度の診療報酬改定に向けた診療報酬調査専門組織「入院医療等の調査・評価分科会」の議論で、神野正博委員(社会医療法人財団董仙会理事長)は、看護必要度の記録に対する看護師の業務負担について言及している。記録負担については従前から指摘されているが、新規項目(C項目等)やデータ提出により、改定後の負担は増しているだろう。
○神野委員
このA項目、そうは言うものの、比較的簡単に、でも、これは毎日とらなければいけないという現場の看護師さんたちにとっては大変な仕事を強いているわけでありまして、これをもっと複雑にしてしまうと、現場はもう記録ばっかりになってくるということになってしまって、(中略)開胸手術実施患者の術後の経過という折れ線グラフと棒グラフを見ていたら、何かほかのものに見えてきてしまうわけです。(中略) これは医療資源投入量と、本重症度、医療・看護必要度との相関というのを見ると、現場としては、毎日これをとらなくてもDPCデータで重症度がはかれるかもしれないというふうに、ちょっと思うわけであります。 厚生労働省 平成27年度第5回入院医療等の調査・評価分科会(2015年7月16日)議事録から引用
グラフ1 開胸手術実施患者の看護必要度の基準該当割合の推移
厚生労働省 平成27年度第5回入院医療等の調査・評価分科会(2015年7月16日)資料
グラフ2 日別入院単価と看護必要度該当患者割合の関係性
筆者分析資料(以降のグラフも同様)
神野委員はまた、開胸手術実施患者の術後経過資料=グラフ1=から、看護必要度と医療資源投入量の相関について検証すれば、看護必要度の計測負担の軽減ができるのではないかと提案している。筆者も同感である。
今回は、医療資源投入量と類似する患者の日別入院単価(入院料・リハビリテーション料も含む)と看護必要度の関係性=グラフ2=のような検証を通じて、看護必要度の評価を不要にできる手法について検討する。
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次回配信は11月30日5:00を予定しています
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