【松阪市民病院総合企画室・副室長 世古口務】
なぜ医師から人事評価制度を導入したのか
病院において人事評価制度を導入する場合、通常は医師を最後にする場合が多い。松阪市民病院では他の職種に先駆けて、医師から人事評価制度を導入した。それには、次のような理由が挙げられる。
①医師数の減少、および新規採用の困難
前回説明したように、DPC/PDPSを導入した2008年度には、医師数はこれまでの最少の33人まで減少し、新規採用も困難であった。この厳しい環境の中でDPC/PDPS導入に協力し、日夜頑張ってくれている医師のモチベーションを一層高め、より長く病院に勤務してもらうためには、何らかの方策が必要と考えた。
②「松阪市民病院あり方検討委員会」からの提言
経営改善のために松阪市が設置した「松阪市民病院あり方検討委員会」の答申の中で、医師の給与制度について「人事評価制度を導入し、個人の勤務成績や仕事に対する意欲を評価し、職員の労働意欲向上を図れる制度にすべきである」という提言が盛り込まれた。その結果、医師人事評価制度の必要性を行政側と議会側も理解し、年間医業収益の0.5%を原資とし(医師人事評価初年度の08年度は約2500万円)、賞与支給日に賞与とは別に「勤勉手当」を支給することが決定された。
③「医師たちに報いたい」という院長の思い
厳しい医療環境の中、病院の方針・ビジョンに協力してくれた医師に対して何とか報いたいという院長の熱い思いがあり、08年4月のDPC/PDPS導入を機に、全職員の意識改革が進み、経営状況も急速に改善し始めたことから「勤勉手当」の支給が実現した。
次回配信は12月2日5:00を予定しています。
(残り2166字 / 全2901字)
この記事は有料会員限定です。
有料会員になると続きをお読みいただけます。
【関連記事】