【東京メンタルヘルス所長 武藤清栄】
労働安全衛生法の一部改正に伴い、労働者のメンタルヘルス対策の充実や強化を図るため、従業員50人以上の事業者に対して「ストレスチェック」の実施が義務化されました。身体の定期健康診断のように、「心の定期健康診断」を行うというものです。
■介護現場こそストレスチェックの活用を
介護福祉施設の場合、多くの事業所では「従業員50人未満」で、ストレスチェックの実施は努力義務ということになるでしょう。しかし、これまで見てきたように、介護現場は上司と部下の関係、同僚との関係、利用者や家族との関係など、人間関係が複雑多岐にわたり、高いストレスが見られることが特徴です。ストレスによるメンタル不調が離職や休職、能率の低下などを招くことを考えれば、人間関係を軸にストレスチェックの実施データを解析し、それに基づいて職場環境を改善するのは有効と言えるでしょう。
ストレスチェックに掛かる費用は、実施から結果の通知まで、一般にweb版が800円/人、紙ベースでは1000円/人というのが標準価格といわれています。その後、医師の面接指導などを行うには別途費用が必要となりますが、従業員50人未満の複数の事業所が共同でストレスチェックや面接指導を実施した場合、その費用を助成する制度も設けられているので、活用を検討してみてもいいでしょう。
次回配信は9月15日5:00を予定しています
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