【株式会社MMオフィス代表取締役 工藤高】
7月29日に開催された厚生労働省の入院医療等の調査・評価分科会では、地域包括ケア病棟における手術実施頻度についての議論が行われた。そのときの資料とCBnewsの記事「 包括ケア病棟での手術料算定に慎重論も-入院分科会、中間取りまとめに向け議論 」を読むと、地域包括ケア病棟は、療養病棟や亜急性期1に比べ、手術実施頻度が低いとされた。理由は=表1=のように、地域包括ケア病棟では手術が出来高算定できないためだ。手術対象者がそもそも同病棟に入棟しないのは、病院経営の観点からは当然のことだ。
療養病棟において手術は出来高算定可能だ。そのため、院内転倒等による創傷処理(ナート)+デブリードマン等の手術料は出来高算定できる。また、昨年10月で廃止された亜急性期入院医療管理料1も手術は出来高だった。一方で、亜急性期入院医療管理料2は手術が包括であり、地域包括ケア病棟入院料と背景が似ている。ただし、亜急性期1、2はリハビリの有無での区分であったため、同病室内で患者ごとの選択が可能であった。
=表2=のように地域包括ケア病棟は、入院1日・1人当たりの手術点数は2.9点、一方、亜急性期入院医療管理料2は0.7点。地域包括ケア病棟は手術実施がやや高くなっている。前述のように亜急性期入院医療管理料2は手術が包括とはいえ、脳血管リハまたは運動器リハを入院中に算定していなければ、病室を移動することなく、手術が出来高の亜急性期入院医療管理料1を選択できた。つまり、手術が出来高可能な亜急性期入院医療管理料1と比較し、そもそも手術が包括の地域包括ケア病棟において実施頻度が低いというのは無理があるのではないか。手術が最初から包括の地域包括ケア病棟が、他の手術が出来高算定できる包括入院病棟と比較して低いのは当たり前のことだ。そもそもポストアキュート(急性期後)の機能を持つ地域包括ケア病棟を運営している病院では、そのような患者は他の機能の病棟へ入院しているわけだ。
次回配信は8月19日5:00となっています
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