【東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科 環境社会医歯学講座 政策科学分野教授 河原和夫】
前回、1985年に成立した第一次改正医療法に基づき、各都道府県が医療計画を推進することになった経緯などを説明した。医療計画の作成に伴い二次医療圏が設定され、その地理的範囲を単位として基準病床数を設定するという病床規制が始まった。当初、設定された二次医療圏内で住民が必要とする医療が完結できるか否かについては注目されず、衆目が集まったのは二次医療圏が病床過剰か不足なのかという点のみであった。しかし、がんや脳卒中のように、疾病ごとに提供される医療機能が二次医療圏とは異なっていることが明らかになったり、医療施設が十分に整備されていない地域から交通機関が発達している地域への患者移動が目立ってきたことから、二次医療圏を超えた患者の移動に関心が移っていった。
次回配信は8月20日5:00を予定しています
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