【戸田中央リハビリテーション病院 摂食・嚥下障害看護認定看護師 兼本佐和子】
急性期の脳血管疾患の患者の約7割に、何らかの摂食嚥下障害があると言われる。早期の経口摂取が望ましいことは急性期病院でも浸透しつつあるが、重症例や誤嚥性肺炎のリスクが高い患者については、TPN(中心静脈栄養)やPPN(末梢静脈栄養)、経管栄養が提供されるケースもまだまだ多い。
脳血管疾患患者のうち、急性期を脱して回復期まで摂食嚥下障害が残る患者は2~3割と言われる。実際、当院でも脳血管疾患患者の約3割に何らかの摂食嚥下障害がみられる※。延髄外側病変によって咽頭期に問題がある、麻痺により口腔期と準備期に問題がみられる、高次脳機能障害の患者に先行期の障害が生じているなど、多岐にわたっている。
※摂食嚥下のメカニズムの代表としては、食べ物の形や量、質などを認識する「先行期」から、噛み砕き、飲みやすい形にする「準備期」、喉の奥に送り込む「口腔期」、気道防御して食道の入り口が開く瞬間の「咽頭期」、食道から胃に送り込む「食道期」の5つの過程に分けられる
当院は埼玉県戸田市にある3つの回復期リハビリテーション病棟(129床)から成る専門病院で、外来機能は持っていない。急性期治療を終えて入院した患者は、在宅復帰を目標にリハビリテーション(以下リハビリ)に専念しており、多職種が支援を行っている。理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)は、マンツーマンで担当患者へリハビリを行う。また、看護師・介護福祉士は病棟での24時間の生活すべてをリハビリと捉え、過介助はせずに患者の機能を最大限引き出せるようにかかわっている。また、昼間のリハビリがしっかりと行えるよう健康管理にも目を配っている。
次回配信は7月29日5:00を予定しています
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