【東京保険医協会事務局 栗林令子】
施設基準を届け出た上で算定する診療報酬の点数は、1980年代から設定されていた。当初はごく一部だったものの、現在では471項目に及んでいる(2014年4月時点)。最近の診療報酬改定では、新設や引き上げられる点数の多くは「要届出」で、これが算定できなければ、医療機関の経営も成り立たないほどである。届け出をする場合、定められた人員基準や施設基準を満たす必要があるほか、その後も基準を維持しなければならない。医療機関側の管理事務も増加する一方だ。
また当初は届出をして承認を受ける必要があり、行政が責任を持って届出事項を認可していたが、1994年以降は「届出制」に変更され、医療機関の責任で届出をするものとされた。
さらに、届け出た施設基準などを引き続き満たしているか、おおむね6か月後に「適時調査」を行うとされている。ただ、適時調査は実際のところ、「おおむね6か月後」には行われていない。都道府県によって異なっていて、だいたい3年-10年に1回くらいの頻度で行われているなど、ばらつきがある。ただし、実施件数は年々増加傾向にあり、それに伴う返還金も増加している。
このため、個別指導 ※ とともに、適時調査も念頭において対応する必要がある。個別指導よりも適時調査対策が重要と考えている医療機関もあるくらいだ。
なお、今回は厚生労働省の実施要領に基づき記述しているものであり、都道府県によって取り扱いが異なる場合もあり、必要に応じて都道府県に確認されたい。
※厚生局都道府県事務所と都道府県が実施する。患者や保険者・審査機関等からの情報、高点数のほか、前回「再指導」とされた医療機関等が対象となる。診療録とレセプトを突合しながら、診断根拠、診療報酬の算定等について指導する。指導で指摘された事項は指摘の程度により過去1年分の自主返還を求められる
次回配信は7月13日5:00を予定しています
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