【宗和メディカルオフィス代表 原田宗記】
4月に実施された介護報酬の改定は予想以上に厳しい内容だった。特に単独経営の介護事業所では、より一層の経営努力が必要だと感じた経営者は多いだろう。「介護事業を続けていくことが可能だろうか?」と考えている事業所も増えていると聞く。相変わらずの人材不足で、求められるスタッフの賃金改善は確実に経営を圧迫し、利益を出して安定経営を続けるには相当の努力を強いられる。介護が必要な人口は増える一方だが、事業所の将来は見えてこない。これ以上、経営が悪化しないうちに見切りをつけた方が良いのではないかと考え、撤退を検討する事業所も出始めている。
■競争激化で利用者が減少したデイサービスの改革
私自身が途中から経営に関与した単独経営のデイサービス。開業して10年が経過していた。ここ数年で周辺に同様の事業所が増え、競争が激しくなっていた。利用者が増えず、収入が大幅に減少。5年ぶりに200万円の赤字となった。スタッフの平均年齢は40歳を超え、医療技術者以外は全員が他業種からの転職組。何とか利用者を増やそうと会議を重ねたが、スタッフからは建設的な意見は出てこなかった。「この施設の特徴は?」と聞いても、「手厚い介護」と答えるだけ。数日施設に通って現状把握に努めたが、利用者の減少もあってスタッフが明らかに余っていた。「手厚い介護」とはただスタッフが多いだけのことで、利用者の増加には全くつながらないように見えた。
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