【岐阜大医学部附属病院 薬剤部副部長 鈴木昭夫】
「病棟に薬剤師を配置することは患者の転帰に良い影響をもたらす」と明確に示すため、薬剤師は具体的にどのような業務を病棟で行い、どのようにデータを収集すればよいのでしょうか。今回は、私たち岐阜大医学部附属病院での薬剤師による有害事象モニタリングと、その臨床アウトカム評価について紹介します(※1)。
当院では2012年10月、耳鼻咽喉科病棟を病棟薬剤業務のモデル病棟に設定し、薬剤師の常駐を開始しました(「病棟薬剤業務実施加算」の算定なし)。病棟薬剤業務として行わなければならないことは▽入院時の持参薬の確認と、その評価に基づく処方設計と提案▽医薬品情報の提供▽複数の薬剤を投与する場合の相互作用の確認▽投与流量や投与量の計算▽医薬品管理-など、さまざまありますが、中でも私たちが注力したのは、医師や看護師との協働による有害事象モニタリングと、その対策のための処方提案です。
医療の過程で生じる有害事象に関する調査によると、わが国の急性期病院では全入院患者の6.8%に有害事象が生じており、諸外国でも3.2-16.6%と高い発生率が報告されています (※2) 。有害事象が生じれば、患者の予後に悪影響を及ぼし、入院期間の延長や死亡率の上昇を引き起こします。有害事象のモニタリングと症状の予防・軽減のための対策に、病棟薬剤師が積極的に介入することは、患者にとって良い転帰をもたらす可能性が考えられます。
次回配信は6月23日5:00を予定しています
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