【宗和メディカルオフィス代表 原田宗記】
開業する場合、勤務医の時とは違って、事業としてのさまざまな申告手続きが必要となる。自分で行うのは不可能に近いので、通常、税理士に依頼するが、医業中心に税務を行っている税理士は意外に少ない。そのため、ほとんどが知人、医薬品総合商社、開業医などの紹介に頼る。
しかし、紹介者自身も税理士の能力を把握しておらず、適任かどうかではなく、「誰々が頼んでいるから」「金額が安い」「話しやすい」などの理由で紹介されることが多い。大人数の税理士を抱える事務所になると、所長に会えるのはせいぜい申告前に1-2回程度で、クライアントの多い事務所では所長が直接担当をしない場合もある。では、税理士であれば誰でもそんなに能力に変わりがないかというと、そうではない。税務調査で初めて税理士の能力が分かって、「これではだめだ」と交代させることもある。
■積極的な経営展開のために税理士を交代
個人経営の眼科クリニック。月の診療報酬は1500万円を超え、年間の所得も5000万円以上だった。顧問税理士は、医療機器メーカーからの紹介で、元税務署員で65歳を超えていた。どちらかというと守りに強く、積極的な節税対策には乗り気ではなかった。眼科医不足の地域での開業で、収入の伸びも早く、それなりに投資もしていたので、確定申告時には銀行からの借り入れで所得税を支払っていた。そのような状況もあって、資金繰りを安定させるための改善が必要だと考えた。方法としては、医療法人の設立を税理士に提案したが、経験がなく、なかなか思うように進まなかった。このままでは時間がかかり過ぎると、こちらで準備をして医療法人の申請を行った。
次回の記事配信は、6月12日5:00を予定しています
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