【横浜市立大学附属病院薬剤部課長補佐 小池博文】
当院は横浜市金沢区にある654床の特定機能病院であり、神奈川県域において高度かつ先進的な医療を担っている。設立母体は横浜市であるが、2005年に公立大学法人化し、必要最小限の予算で最大の効果を発揮できるよう、経営努力が一層求められるようになった。
そのような中、当院では03年のDPC制度開始を踏まえ、前年の02年にジェネリック医薬品の本格的導入を開始した。当初、事務管理部門より先発品から切り替えた際の差額が大きい製品を機械的に切り替えていくといった提案があったが、ジェネリック医薬品の中には名称が分かりにくかったり、包装表示が見づらいものもあった。そこで、薬剤部が中心となって製品を選び、主体的に導入を進めてきた。今回はその取り組みについて紹介したい。
2.後発医薬品導入の基本的考え方
抗体医薬を中心として最近の新薬は非常に高額である。大学病院には最新の治療を待つ患者のために、医薬品をシームレスに医療現場に届けるという使命があるが、一方で医薬品費の予算は限られている。当院では、ジェネリック医薬品が発売されている長期収載品についてはそれに切り替え、その差額を新薬購入の原資の一部とすることを方針としている=図1=。
図1 当院の医薬品切り替えロジック
また、導入当初からすべての診療域でジェネリック医薬品への切り替えを行っている。当時は有効治療域が狭い薬剤や副作用が強い抗がん剤、服用感の異なる外用薬などにおいて切り替えに抵抗する診療科もあったが、多くは品質への不安によるものであった。そこで、薬剤部ではジェネリック医薬品の国内承認条件や国立医薬品食品衛生研究所のジェネリック医薬品品質情報検討会の資料などを活用しながら、薬事委員会を通じて切り替えを進めてきた。現在ではおおむねコンセンサスが得られている。
出来高払いでは薬価差の大きい先発品、包括払いでは購入価の低い先発品を使用することが経営的に有効だとする有識者もいるが、当院では一貫してジェネリック医薬品への切り替えを進めている。ジェネリック医薬品の普及の目的は伸張する国民医療費の抑制であり、そのことは患者の自己負担の軽減にもつながる。従って、こうした「使い分け」は保険医療機関として許容されるものではないだろう。また、同一成分で複数のブランド薬剤が配置されることで現場の混乱を助長し、エラーの要因になりかねないと考えている。
次回配信は6月2日5:00を予定しています
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