【医療法人愛誠会 昭南病院 法人事務局長 鶴田光樹】
病院に限らず、組織運営において個々の力を最大限に発揮するには、全員のベクトルを合わせる必要があります。ですが、この連載の初めにご紹介した通り、当院のある鹿児島県の曽於医療圏は医療過疎地域で、医療人材の募集にも大変苦労しているのが現状です。地元医療圏に住んでいる職員は約6割。そのほかは隣接する医療圏や鹿児島市、県境を越えて宮崎県内からも通っています。「地域密着型・地域完結型の医療を!」と声高らかに訴えてみても、職員の「働く場」と「生活の場」が違えば、どうしても実感が伴いにくいものです。病院の理念を全職員に浸透させ、「全員参加型」の経営を実践できるまでには、手を替え品を替え、試行錯誤しながらさまざまな取り組みを行ってまいりました。
医療業界ではよくある話ですが、当院においても「売り上げ」や「利益」と聞くだけで抵抗を示す幹部職員はいました。また一般的に医療関係者は、ほかの医療機関・介護施設のマネジメントや見学には関心があっても、他業種(一般企業)のマネジメントには興味がないのか、そもそも比較対象としていないのか、非常に消極的であるように思います。しかし、改革を進めるために医療・介護以外の広範囲にわたる業界の先進事例を学ぶ機会を得ていた私は、その経験から「組織という点においては一般企業も医療法人も同じだ」と感じていました。
次回配信は4月28日15:00を予定しています
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