【新日本有限責任監査法人パブリック・アフェアーズグループ エグゼクティブディレクター 武藤隆】
2014年10月20日の日本経済新聞5面に「地銀、行員に医療系資格」という記事があったように、地銀各社が医療機関の支援体制の整備を進めています。
民間医療法人への貸し出し額が多かった都銀や有力地銀の中には、10年以上前から医療専門担当部署を置いたり、学校法人や社会福祉法人などと合わせて、公共法人担当部署を設置し、医業経営コンサルタントの資格を取得させたり、医療機関に出向させたりしながら、経験やノウハウを蓄積している銀行がありました。ここへ来て再度、医療機関への対応を強化しているようです。
08年のリーマン・ショック以降、社会的にも必要な産業として、そして一般の産業に比して安定した貸出先として、金融機関各社がこぞって医療機関への貸し出しを増やしてきたと思います。しかし、ここへ来て社会保障費の財源不足の問題が顕在化し、医療費の抑制や病院の施設基準の引き上げの議論などが高まる中、金融機関も医療機関の経営状況をより正確に評価し、安定した貸出先の確保を進めているのでしょう。
連載では、当社が進めてきた医療支援の経験や、筆者が医療支援ファンドで培ったノウハウなどを踏まえながら、医療機関の財務状況の見方をはじめ、資本・負債と資産のバランスや返済能力と資本・負債のバランス、そして病院建替えに向けた事業計画と財務状況の整備などについて、ご紹介します。
第1回は主にバランスシートを中心に、医療機関の財務状況の基本的な見方をお示しします。
今回はまず、貸借対照表の構造と、損益との関係性を確認して、次回以降の個別の論点につなげます。ぜひ自院の財務諸表(決算書を構成する貸借対照表と損益計算書、できればキャッシュフロー表、もしくは資金収支計算書)を手元にご用意頂き、図表と照らし合わせながらお読みください。
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