【国立がん研究センター東病院 精神腫瘍科長 小川朝生】
前回、急性期病院での認知症ケアをめぐる課題について、医療安全管理の観点から紹介した。続いて今回は、もう一つの課題である「認知症に関する知識・技術とニーズのギャップ」について考えてみたい。
今、アルツハイマー病をはじめとする認知症の治療やケアに関心が高まり、さまざまな情報が流れているが、その主な話題は、最新の治療薬やBPSD(認知症の周辺症状)への対応についてである。しかし、身体治療を目的とする急性期病院での認知症ケアの課題は、 「身体治療を進める上で、どのような配慮や工夫が必要なのか」 が焦点となる。
認知症が身体治療に与える影響は、以下のようにまとめられる。
1. 診断が遅れること
2.自覚症状が把握されにくくなり、身体的問題が重症化しやすいこと
3.セルフケアが困難になり、支援体制の綿密な計画が必要になること
次回配信は9月11日15:00を予定しています
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