【塩原公認会計士事務所 特定社会保険労務士 福島通子】
「ブラック企業」が社会問題化しているのに伴い、医療業界においても「ブラック病院」という言葉が生まれていること、医師をはじめとする医療従事者の厳しい勤務環境を改善する必要があることを前回指摘した。そこで今回は、労働時間か否かの線引きが難しいとされる医師の勤務実態について、筆者の参画した調査報告を紹介したい。
医療機関は閉鎖的な事業所であり、外部の者が内部の実情を目にすることはなかなか難しい。筆者がかかわった社会保険労務士総合研究機構の調査研究は、何とかその実情を世間にも知らせたいとの一心から、年齢、性別、経験年数、診療科を異にする数人の勤務医に無理を承知で頼み込み、それぞれ激務の中、勤務実態を詳細に報告いただいたものである。
調査方法としては、1週間にわたり、各日24時間中に何をしたか(業務、私用、睡眠などすべての行動)を詳細に、時系列で表に記載してもらった。併せて1か月間の勤務実績と休日も記入してもらった。これを基に、労働時間とそれ以外の私的な時間に分けて算定した。
その結果、調査対象の医師たちは、全般的にかなり厳しい勤務環境に置かれていることが分かった。
次回配信は8月28日5:00を予定しています
(残り2633字 / 全3184字)
この記事は有料会員限定です。
有料会員になると続きをお読みいただけます。
【関連記事】