【大滝恭弘(帝京大学医療共通教育センター准教授、医師、弁護士)】
呼吸器内科医に限らず、内科医の多くは、国家公務員法や労働安全衛生法等に基づく定期健康診断で、胸部X線写真の読影を担当したことがあると思われる。短時間に大量の胸部X線写真を読影しなければならないにもかかわらず、微妙な肺陰影まで見逃すことが許されず、法的責任を問われるとしたら、多くの医師は読影業務を拒絶することになり、国民の健康と安全の確保のための定期健診システムも崩壊するだろう。今回は、定期健診における肺がんの見落とし事例に関する訴訟を通じて、裁判所がこの問題に対し、どのように考えているのかを考察する。
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