【大平社会保険労務士事務所代表 大平裕志】
どんなに手を尽くしても、辞めたいと言う人は必ずいます。しかし、経験を積んで、中堅として活躍してもらいたい貴重な人材が去るのは、組織にとって大きな痛手になります。何とか引き留める方法はないものでしょうか?
医師や看護師は労働市場での価値がとても高いため、より労働条件のよい医療機関へ転職しようと考えるのは自然かもしれません。能力の高い医師や看護師が離職してしまうことで、病院のマンパワーが足りなくなるだけでなく、病院の結束力が緩くなり、連鎖的な離職につながることも考えられるため、何とかして離職者を引き留めたいところです。
退職希望者を引き留める方法として、「労働条件を改善する」ことが考えられますが、経験上これは一時的な解決にすぎず、いったん成功しても、1年も経過せずに再び退職の話が出てくることが多いように思います。
つまりは、表面的な引き留めをしても長続きする可能性は低いのです。「辞めると言っている人をいかに引き留めるか」を考えるのではなく、「辞める人を減らすためにどうすればよいか」(根本的解決)と、「辞めると言いそうな人との関係改善を図ること」(早期対応)を考えなければ、離職者を減らすことは難しいでしょう。
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