【国際医療福祉大学大学院 医療福祉経営専攻 教授 石山麗子】
介護支援専門員(ケアマネジャー)の法定研修が不評を買っている。要因はさまざまだが、受講費用の高さを指摘する声がある。「高い」という主観的訴えを既存データの数値を用いながら考えてみよう。
2024年に行われた厚生労働省の「ケアマネジメントに係る諸課題に関する検討会」では、実施責任のある各都道府県に対して調査した「令和4年度介護支援専門員の法定研修受講者負担」を公表した。このデータから最大値、最小値を取り出して、課程別の平均値と比較した=表=。
実務研修は、ケアマネになるために受講する研修であり、なり手を確保するという観点から、費用負担は重要である。全国平均5万8,829円、最大値はA県8万280円(136.5%)、最小値はH県2万800円(35.4%)である。
主任ケアマネは地域包括ケアシステムを構築する上で欠かせない存在である。居宅介護支援事業所にとっては管理者要件(経過措置期間中)であるため、経験60カ月以上のケアマネには受けてもらいたい研修である。主任ケアマネの研修は平均4万6,910円。それに対して最大値はF県6万7,500円(平均比143.9%)、最小値はH県2万4,070円(平均比51.3%)と大きな開きがある。
大きな乖離という観点では、専門II研修の最大値は190.9%と平均の2倍近い状況が目立っている。H県は、主任更新研修を除く、9課程中8課程で最小値である。しかし、単に最大値が良くない、最小値が良いという判断は拙速である。なぜ、この乖離が生じるのかの分析が肝要である。なぜ、費用の差は生じるのか。
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