【千葉大学医学部附属病院 副病院長、病院経営管理学研究センター長 、ちば医経塾塾長 井上貴裕】
2019年度をピークに多くの地域では入院患者数が減少していることについて本連載で取り上げてきた。グラフ1は、一般病床の人口10万人当たりの1日当たり在院患者数を都道府県別に集計したものであり、地域にもよるが23年度は多少入院患者が戻りつつあるようだ。
ただ、一般病床には地域包括ケア病棟や回復期リハビリテーション病棟なども含まれ、苦戦する急性期医療の実態と一致するわけではない。そこで、本稿では25年3月31日に公表された「DPC導入の影響評価に係る調査『退院患者調査」の結果報告」のデータを用いて、急性期病院の患者数動向を明らかにし、今後、急性期病院に求められる方向性について私見を交えて論じる。
なお、入院患者数がピークを迎えた19年度との比較を行うために、20年・21年度・22年度・23年度出来高算定病院については本分析からは除外している。
グラフ2が19年度から23年度の全国の急性期病院における診療実績であり、退院患者数は23年度に増加し、底を打ったと考えられる。手術・全身麻酔件数はほぼ横ばいであり、入院中の化学療法は微減である。ただし、化学療法については外来化が進んでいることの影響を受けている=グラフ3=。
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次回配信は4月21日を予定しています
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