【千葉大学医学部附属病院 副病院長、病院経営管理学研究センター長 、ちば医経塾塾長 井上貴裕】
連載第232回で「⼊院診療単価を上げた地域包括医療病棟への転換ケースとは」についてデータを交えて言及した。そこでは、11病院の限られたデータではあるが、全体として入院診療単価の上昇を期待できることを明らかにした=グラフ1=。
地域包括医療病棟への転換で先行した病院には、出来高の急性期病院が多く、いわゆる10対1の急性期一般入院料4などからの転換では増収になるはずだ。一方で、DPC対象病院では、看護配置7対1の急性期一般入院料1からの転換が多くなり「減収になるのか」と予想していたが、必ずしもそうではないことが観察された。もちろん、地域包括ケア病棟から地域包括医療病棟への転換では相当な増収を期待できる。ただ、厳格な施設基準を充足できるかというと、そう簡単ではないのも現実である。 (残り1541字 / 全2369字) 次回配信は12月23日を予定しています
地域包括医療病棟の届け出は増加傾向にあり、2024年11月末の確認では100病院を超えた=グラフ2=。
高齢者救急の担い手としてのこの病棟をさらに普及させるためには、「重症度、医療・看護必要度」(看護必要度)が1つの鍵を握っている。
資料の(5)によると、一般病棟用の看護必要度を用いて評価し、延べ患者数のうち「A3点以上、A2点以上かつB3点以上、またはC1点以上」に該当する割合が16%(必要度Iの場合)または15%以上(必要度IIの場合)であるとともに、入棟患者のうち入院初日に「B3点以上」に該当する割合が50%以上であることが求められている。
本稿では、前者の「A3点以上、A2点以上かつB3点以上、またはC1点以上」を「必要度該当割合」、後者の入棟患者のうち入院初日に「B3点以上」に該当する割合が50%以上を「入院時重症割合(B3点以上)」と定義し、議論を進めていく。その上で、施設基準をクリアするために当該病棟をどのように運用すべきなのかについてデータを基に提案する。
グラフ3は
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