【千葉大学医学部附属病院 副病院長、病院経営管理学研究センター長 、ちば医経塾塾長 井上貴裕】
19世紀後半から20世紀の初めにかけて活躍したフランスの実業家アンリ・ファヨールの「企業の経営には管理が最も重要である」とする経営管理は古典理論として知られる。経営には管理が最も重要であるというもので、そこでは、専門化や分業化、権限と責任の一致、組織の階層化、指揮命令系統の一元化などの原則が唱えられている。現在でも組織管理を考える上で重んじられている。
こうした組織管理は個人のキャリアにも影響を及ぼす。とりわけ医療では「専門」性が重視される傾向が強い。かつては医学博士の学位がないと診療部長などのポストに就けない病院もあり、多くの医師が学位取得の重要性を感じていたようだ。しかしながら、今日は学位よりも専門医のライセンスが重要であり、サブスペシャリティーも含め専門性の追求こそが輝かしいキャリアだと考える方も多い。これは医師だけではない。多くのメディカルスタッフが専門性に磨きをかけたいと願うのではないだろうか。
これは生産性の向上という意味で素晴らしいことでもあり、医療の発展につながる。一方で、専門性の追求による弊害も見過ごせない。
例えば、
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次回配信は10月21日を予定しています
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