30代前半に静岡で在宅クリニックを開業し、今では3つの分院を開設している内田貞輔理事長。“在宅診療は生活をみること”、あるいは“在宅診療は「動く総合病院」であるべき”という独自のコンセプトを掲げ、在宅医療の次世代を担う若きリーダーとして注目される一人です。自らの経験から導き出された在宅医療の本質と、介護と医療による連携の重要性やメリットについて、5回に分けてお伝えします。
【内田 貞輔 医療法人社団貞栄会理事長】
■在宅医として貫徹している私の信念
私は32歳の時に、それまで縁もゆかりもなかった静岡市内で在宅クリニックを開業しました。その際、これだけはと大切にして絶対に曲げなかったことは、“24時間365日、徹底対応します”という信念です。実際、開業から3年ほどはクリニックで寝泊まりして、夜間のコールもすべて自分で受け、自ら患者さん宅を訪問していました。自分がそうすると決めたからには崩さないという決意で徹底的に貫いたのです。当時はそうすることが自分の役割であり、患者さんやご家族に対する医療者としての使命だと信じていました。
ただ、夜間コールへの徹底対応は、やがて1年あまり風邪の症状が抜けない状況となったこともあり、私の体調を心配してくれたスタッフの提案もあって、現在は仲間に任せています。それでも、当初から私のもう一つの信念として続けてきた、問い合わせ時の「お伺いしましょうか」という声掛けは、今でもすべてのスタッフに徹底してもらっています。勇気を出して電話をしてきたご家族に対して欠かせない一言ですが、その相手には当然、介護施設で働く方々も含まれています。
こうした信念の貫徹と努力の結果、静岡市内をはじめ各分院周辺でも施設入居の方を含む多くの患者さんと関わることができ、当初の信念が間違いではなかったことを今では実感できています。
■真の在宅医療が介護との連携で生み出すもの
皆さんは、在宅医療に対してどのような印象をお持ちでしょうか。
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次回配信は1月中旬を予定しています
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