【千葉大学医学部附属病院 副病院長、病院経営管理学研究センター長 、ちば医経塾塾長 井上貴裕】
連載第193回で2021年度の全国あるいは都道府県別の診療実績を示し、退院患者は減少しており、特に救急医療入院以外の予定外入院が顕著に減少していることを明らかにした。
一方で、より重症度が高いと予想される救急車搬送入院や救急医療入院はそれほど減少していなかった。ただ、全国の救急医療管理加算の算定状況を見ると増加傾向にあり、特に75歳以上が60%を占めるという実態がある=グラフ1=。
今後増加すると予想される高齢者救急について、増加する疾患を見ると誤嚥性肺炎は73%が、心不全では64%が80歳以上である=グラフ2=。
高齢者救急は、それほど診療密度が高くなく、現在の「重症度、医療・看護必要度」でも評価されない傾向がある。一方で、認知症・せん妄といったB項目を中心に介護需要は著しく高く、在院日数も明らかに長期化する。
本稿では、高齢者救急の担い手としてどの病棟を中心に据えるのが望ましいか、データを基に私見を交えて論じる。
グラフ3は、幾つかの特定入院料について年代別の算定率を見たものであり、地域包括ケア病棟では75歳以上で約8割、80歳以上が約3分の2を占める状況にある。
だとすると高齢者救急の担い手は地域包括ケア病棟なのかという議論にもつながるかもしれないが、
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次回配信は7月3日を予定しています
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