患者調査が実施された直近の2020年については、新型コロナウイルス感染症の影響を色濃く受けており、地域による差はあるが、全国では退院患者数が前年の19年度と比べて13%減少し、特に重篤な緊急入院である救急医療入院に比べて、救急医療入院以外の予定外入院患者の減少が著しかった。これは、コロナ病床確保等の影響もあり、比較的軽症な患者を入院させることが難しいという現実を反映している(グラフ=2・3・4、連載第167回)。
つまり、20年度の患者調査はコロナの影響を受けており、だからこそ受療率が低かったという見方もあるかもしれないが、今後、患者がかつての水準に戻るかというと、特に地方の人口減少地域では悲観的な予想をする病院経営者が多数を占めている。20年はコロナの影響もあり平均在院日数が下げ止まったのだが=表・グラフ5=、それでも入院制限なども関係し患者数が減少してしまった。
20年度の病床機能報告の状況を見ると15年度よりも急性期病床が減少し、回復期が増加しつつあり、地域医療構想が目指す方向に進んでいるともいえる=図=。しかし、25年の必要病床数から見れば、いまだ急性期が過剰であることは変わりがない。そして、この必要病床数の試算が13年の受療率を前提としているのならば、受療率が下落している現実を踏まえて各病院は機能の転換などを真剣に考えなければならない。今後患者が戻ってこないことも視野に入れる必要があるだろう。
一方で、
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次回配信は10月17日5:00を予定しています
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