【北海道介護福祉道場 あかい花代表 菊地雅洋】
介護保険制度改正や介護報酬改定は、制度の持続性を担保することを最大の目的として行われているので、財源に限りがあることを理由に、青天井の給付を防ぐためにさまざまな給付抑制策が取られていくことになる。利用者の負担増も、財源確保の方策として実施されていることは間違いないが、それに加えてサービスの抑制効果を見込んで実施されていく意味合いも含まれている。
こうした給付抑制策と利用者負担増を含む国民負担の増加策は、制度改正・報酬改定のたびに次々と実現されている。しかも、2024年度の制度改正・報酬改定について議論する時期は、衆院の解散がなければ国政選挙が3年先までない時期に行われるので、政治家は国民に痛みを求めても選挙でしっぺ返しを食らうのを心配しなくてよい時期でもある。
そのことを見越したわけでもないだろうが、政府は7月29日の経済財政諮問会議で、23年度予算案の編成に向けた基本的な考え方(23年度の予算の全体像)に、「利用者負担見直しを含む介護保険の持続性確保」を盛り込んだ。これによって、介護保険サービスの利用時の2割負担者と3割負担者の拡大は必至となるだろう。そして、そのことは将来的に介護保険の利用者負担を原則2割とすることにつながっていくだろう。
また、過去に実現が見送られた給付抑制策や国民負担増についても、決して廃案になって終わりではなく、繰り返し議論され、タイミングを選んで実現の運びとなっている。そのことを考えると、次期報酬改定で居宅介護支援費の自己負担導入が現実味を帯びてくる。
なぜなら、過去に議論され、その議論が続いている積み残された課題とされるものの中で、一番古いのがこのテーマだからだ。自己負担導入論が議論の俎上に上ったのは08年であり、そこから検討され始めて今年で足掛け15年目のテーマなのである。
■居宅介護支援、財務省が自己負担導入を主張
(残り3181字 / 全3990字)
この記事は有料会員限定です。
有料会員になると続きをお読みいただけます。
【関連記事】