【北海道介護福祉道場 あかい花代表 菊地雅洋】
第26回参院選が終わったことにより、政治の世界は衆院の解散がなければ次の参院選が行われる2025年の夏まで、選挙を心配せずに国政の課題に取り組むことができる「黄金の3年」に入ることになる。ここで言う黄金とは、国民の審判を受ける機会がない期間という意味で、政治家にとって票を気にせず国民に痛みを強いることができるという意味にもつながり、介護保険の国民負担増や給付制限にも影響することが懸念される。
しかも、今回の参院選では、全国老人福祉施設協議会の組織内候補で、複数の介護業界団体が推薦した現職議員が落選した。それは介護業界に吹く逆風の防波堤となる国会議員がいなくなったということを意味するとともに、「介護は票にならない」という印象を政治家に与えることにつながり、介護業界の声を政界に届けにくくする要因ともなり得る。また、それは、政治にとっての黄金の3年が介護業界にとっての「暗黒の3年」につながりかねないことも意味する。
こうした意見に対して、「政治が関与するケースは極めて限定的で、影響は少ない」という見方もある。それは、介護報酬改定に関する意思決定プロセスでは、見直し項目や各種加算について社会保障審議会の介護給付費分科会を中心に議論されるほか、厚生労働省と関係団体との意見交換や調整によって具体策が決定されていくという考え方に基づく見方だ。
しかし、最終的な改定率は政治の判断が入って決まることになるし、政治的な影響とは何も次期介護報酬改定に限ったものではなく、今後の社会における介護事業者の在り方という問題にも絡んでくるので、その影響は決して少なくない。
例えば、全国老施協の組織内議員がいなくなったことで、社会福祉法人の非課税撤廃論が再燃する懸念もある。
■次期改定、報酬が上がる要素は…
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