【北海道介護福祉道場 あかい花代表 菊地雅洋】
新型コロナウイルスのオミクロン株の蔓延によって全国で感染者数が増加する中、在宅で生活する高齢者の暮らしを守るために、訪問介護員も感染者や濃厚接触者の自宅を訪問して対応するケースが増えている。しかし、訪問診療や訪問看護、施設介護で陽性患者に対応した場合に公的支援が受けられるにもかかわらず、訪問介護については同様の公的支援が受けられないとして、日本介護クラフトユニオン(NCCU)が、新型コロナの患者をケアした訪問介護員への特別手当の支給が急務であると訴えていた。
公的支援を受けられずに利用者に対応する訪問介護員に対し、せめて労働の対価としてふさわしい手当を与えるべきではないかというこうした主張は、訪問介護員をはじめとした介護従事者が、「社会機能維持者」(エッセンシャルワーカー)に相当し、感染者と濃厚接触した場合の待機期間が一般の人よりも短縮される措置が取られているにもかかわらず、その責任の重さに比べて正当な対価が支払われていないことへの問題提起でもある。そして、この考え方は正論だと支持する関係者も多かった。
それに関連し、3月2日の衆院・厚生労働委員会で、NCCUの政治顧問を務める山井和則衆院議員が、訪問介護員が新型コロナ患者のケアを行った場合の特別手当の支給を求める質問を行った。これに対して後藤茂之厚生労働相は、感染者や濃厚接触者に対応した訪問介護員に支払う特別手当について既存の補助金を使って公費で賄うことが可能だとの認識を示した。
既存の補助金とは、「新型コロナウイルス感染症流行下における介護サービス事業所等のサービス提供体制確保事業」を指しており、その実施要綱の3の(1)のイの(ア)の「割増賃金・手当」がホームヘルパーへの特別手当に当たり、これは全額公費による支援となると、後藤厚労相が説明した。
■「かかり増し経費」支援の要点を整理
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