【千葉大学医学部附属病院 副病院長、病院経営管理学研究センター長、ちば医経塾塾長 井上貴裕】
2022年度診療報酬改定において、高度かつ専門的な急性期医療を提供する体制の評価として「急性期充実体制加算」が新設される。当該加算は7日以内について1日当たり460点など極めて高い評価が行われ、今回改定の目玉である=資料1=。従来の総合入院体制加算よりも相当程度高い報酬の設定となっており、極めて高いハードルが設定されるであろうことを私としては予想していた。
もちろん、新型コロナウイルス感染症で高度急性期病院が大きな貢献をしたわけで、機能分化を推進するという意味でも、これらの病院に手術症例等を集約化することが医療の質と経済性向上につながるという見方もあり、だとしたら高過ぎるハードルではなく、頑張れば手が届くくらいであることが望ましい。ただ、財源の制約がある中でどのような施設基準になるのか注目していた。
4日に明らかにされた高度かつ専門的な医療の内容としては、全身麻酔件数2,000件等が採用されることになり、現実的なものである。高度急性期としては比較的穏やかな基準設定であると私は感じている=資料2=。
これだけ高い報酬なのだから、多くの病院にとって手が届かない、難しいという設定ならば、全身麻酔件数年間3,000件という選択肢があると4日以前には主張しており、仮に2,000件であれば、多くの病院が総合入院体制加算から急性期充実体制加算に切り替えを行うというのが当初の予想だ。その理由として、グラフ1に示すようにDPC特定病院群の全身麻酔件数の平均が3,000件強で、これが1つの目安になると考えたからだ。一方で、病床規模別で見ると、大病院でなければこのハードルを越えることは難しいという現実もある=グラフ2=。
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次回配信は3月28日5:00を予定しています
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