【千葉大学医学部附属病院 副病院長、病院経営管理学研究センター長、ちば医経塾塾長 井上貴裕】
医師事務作業補助体制加算は、勤務医の負担軽減を目的として2008年度診療報酬改定で新設された。当初は25対1配置が最上位加算に位置付けられていたが、その後の10年度改定で15対1、20対1とさらなる上位加算が設けられて全国的に急拡大の様相を呈した=グラフ1=。
この背景には、点数設定が段階的に引き上がってきたことも関係する=グラフ2=。医療機関では医師の指示を基にあらゆる業務が進められるわけだが、医師にしかできない業務に注力することは負担軽減に加えて専門的能力に磨きを掛け、専門職らしい働き方をするという意味でも有効であることは確かだ。一方で、下積み時代に書類書きなどをやらされてきた昔を懐かしがる世代からすると、今の医師は1人では何もできないという見方もあるかもしれない。ただ、それは時代の流れとして捉えるべきだろう。
その後、14年度診療報酬改定で同じ人員配置の中に加算1が新設され、配置効果を高めるために、業務の場所を外来または病棟を80%以上とするプラスの評価が行われた。ただ、居場所によって評価を分けることには違和感もあった。外来に配置すれば、代行入力などを行い有効活用できるという前提の制度設計だと思われるが、実際には外来でプリンターから出力した紙を取るだけといった、医師の負担軽減にはさほどつながっていないという声を耳にすることも多かった。
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次回配信は2月28日5:00を予定しています
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