【福井県済生会病院事務副部長兼医事課長 酒井光博】
医療の質は、国民が医療に求める大きな要素の一つである。厚生労働省は「医療の質の評価・公表等推進事業」を2010年度に開始し、多くの団体が参加している。私が所属する済生会でも12年度から同事業に参加しているが、他院とのベンチマーキングを通じて自院の医療を評価し、質の向上を図ることを目的としている。つまり、結果を検証し改善につなげることがポイントになる=図1=。
図 医療の質向上への活動サイクル
同事業の質の指標には、ガイドラインに沿った医療を提供しているかどうかを評価する「プロセス評価指標」をはじめ、治療結果や経過を評価する「アウトカム評価指標」が多いが、当院ではこれらの指標に加え、DPCのデータを利用し、コメディカルや看護部門に関連する医療の質の指標を設け、活用している。
【例1:薬剤部門に関する質指標】
薬剤部門については、薬剤管理指導の実施状況を評価している。
入院中や退院の際の服薬指導は、患者の薬物療法への認識向上だけでなく、それによる服薬コンプライアンスの維持や安全な内服管理を見込める。グラフ1は退院時薬剤管理指導の実施率(退院時薬剤情報管理指導料の取得患者割合)の推移である。退院時処方のある患者を分母、そのうち退院時薬剤情報管理指導料を算定している患者を分子とした。この結果に、病棟コードや退院曜日を紐付けることで、病棟ごとに実施率にばらつきがあること、土日の退院患者には未実施の患者が多いことが明らかになった=表1=。現在では、土日の予定退院患者には、金曜の時点で服薬管理指導を行うなどの対策を講じている。
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