【社会医療法人財団董仙会 本部情報部 山野辺裕二】
最近、政府や国会などいろいろな場で、医療ITに関係する多様な議論が進められ、今後は法律や政令、通知や報告書といった形で打ち出されてきます。連載では、医療・介護・福祉の第一線の現場で働いている者の視点から、今後の医療ITの行方を占ってみたいと思います。
最近の報道によると、政府の「未来投資会議」では、最先端技術を活用し、個人の診療記録や健康診断の結果などを集約する「ネットワーク基盤」を整備したり、遠隔診療に対する診療報酬を増額したりする方針を次の会合で決めるようです。
図1をご覧ください。「日本健康コミュニティ(仮称)」という表題は見慣れないものの、それ以外の部分は、最近の報道と比較して何か違和感はあるでしょうか。
図1 「日本健康コミュニティ(仮称)」の概要 クリックで拡大
IT戦略本部会議資料より
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/dai50/siryou1.pdf
実は、これは今から8年前の2009年4月に開催された政府のIT戦略本部の会合の資料から抜粋した図です。報道のように「政府の○○会議が医療のIT化推進の方針を確認する」といったことは15年以上前から何度も繰り返されてきました。今回はその歴史を振り返ってみましょう。
「医療のIT化を所管する官庁は厚生労働省だろう」と多くの人は考えるのではないでしょうか。かつては厚労省の担当者と大学などの有識者が政策立案の中心を担っていました。1999年の診療録の電子保存を容認する通知などがその代表的なものでしょう。ただ2001年に政府のIT戦略本部が発足して以来、内閣主導の下、厚生労働・総務・経済産業の3省が分担して担当するようになりました。
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次回配信は5月19日5:00を予定しています
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