【株式会社MMオフィス代表取締役 工藤高】
11月16日の診療報酬調査専門組織「DPC評価分科会」において、2014年度の退院患者調査データが公表された。
これについては、当サイトでも取り上げられていた。「DPC病院、病床利用率の減少に歯止め-昨年度調査、在院日数は短縮続く」
記事にもあったようにDPC対象病院の各群、および準備病院それぞれにおいて、在院日数は短縮した=グラフ1=。なお、一番右の出来高算定病院は、母集団の入れ替わりが激しいため、経年変化は参考数値と見なすべきだ。
しかし、単純に「在院日数の短縮=良いこと」であろうか。もちろん、単なる病床稼働率優先のロングステイ入院は改善されないといけない。以前から繰り返し述べているが、ケースミックス(患者構成)を無視した議論は非常に危うい。もともと短い入院が多い小児科やマイナー診療科を持つ病院の在院日数は短くなる。一方、脳外科単科病院や血液内科患者が多い専門病院は、短期入院がないとどうしても病院全体の在院日数が長くなってしまう。
前者は短距離100メートルのスプリンターであり、後者は長距離ランナーである。平均在院日数短縮の議論を見ていると、短距離ランナーと長距離ランナーを分けるというケースミックスを考慮することなく、単に100メートルのラップを比較しているような議論に出くわすことが多い。スプリンターは10秒前後で走るし、長距離ランナーはそうではない。在院日数の変化について11月16日のDPC評価分科会で公開されたデータを、前年度比較で時系列に見てみることで、今後の方向性について考えてみたい。
グラフ1 在院日数の推移(各年度6カ月データ)
厚生労働省中央社会保険医療協議会診療報酬調査専門組織(DPC評価分科会)2015年11月16日資料を基にMMオフィスで作成
次回配信は12月9日5:00を予定しています
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