【国立保健医療科学院医療・福祉サービス研究部主任研究官 熊川寿郎】
現代は組織の時代といっても過言ではない。私たちの周りには国際機関、各国政府、自治体、企業、学校、病院、Non-profit organization(非営利団体)、Non-governmental organization(非政府団体)など、数えきれないほどの多くの組織が存在する。組織は個人では達成できない目的のために作られたものである。組織はその目的を達成するために、組織を構成する要素(つまりより小さな組織、人々、設備、機器など)の相乗作用によって、個々の要素が持つ力の総和よりはるかに大きな力を生み出す。
現代組織理論の重鎮であるChester Irving Barnardは「組織とは2人以上の人々の意識的に調整された活動や諸力の体系である」と定義している。ここでの「人」とは、個性・信念・価値観などの身体的・文化的特徴を備えている人間そのものではなく、人間が提供する活動や力を意味している。組織をうまく運営するためには、個人から組織に必要な活動や力を引き出すことが重要であり、たとえ優れた能力を持つ人間が多数いても、そこから組織の目的達成に資する活動や力を引き出すことができなければ、組織は十分に機能しない。
(残り2615字 / 全3158字)
この記事は有料会員限定です。
有料会員になると続きをお読みいただけます。
【関連記事】
【関連キーワード】