【株式会社MMオフィス代表取締役 工藤高】
2016年度の診療報酬改定では、7対1届け出要件のさらなる厳格化は確実となった。その最大のツールは前回14年度改定と同様に「重症度、医療・看護必要度」(以下、看護必要度)の届け出要件の強化である。
先日の入院医療等の評価・調査分科会「中間とりまとめ」では、「現行のA項目2点以上、かつB項目3点以上(A○B○)が15%以上要件」の割合引き上げ等には言及していなかったが、そもそも同分科会は入院に関する技術的課題を議論する場所だ。割合引き上げでの7対1病床数削減という経済的問題は、これからの中央社会保険医療協議会総会に委ねられる。そこでは財務省マターで7対1をいくら減らすのかという答えの数字ありきから、新たな割合が決定されるのだろう。
当連載59回目の「 ケースミックス無視の看護必要度は限界か 」では、=グラフ1=のようなデータを示しながら説明した。単に財務省マターで基準を機械的に16年度改定で15%から20%前後に上げるようなことがあれば、病院のケースミックス(患者構成)が大きく変動する可能性が出てくる。
ケースミックスを無視した全体主義的な7対1要件では、限界であることは本連載で何度も述べてきた。小児科、眼科、耳鼻科等の入院患者が多ければ平均在院日数は短く、自宅への退院率は高い。一方、脳外科、呼吸器科の単科専門病院は逆になる。看護必要度は前者の病院は低くなり、後者の病院が高くなるという点だ。
次回の配信は9月30日5:00を予定しています
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