少子・高齢化が進展し、医療提供体制の再編が待ったなしで進められる中、2016年度に予定される次の診療報酬改定では、どのような見直しがあるのか-。厚生労働省保険局の宮嵜雅則医療課長はキャリアブレインの取材に対し、一般病棟7対1入院基本料(7対1)などの手厚い看護配置の評価が、入院患者の重症度に見合ったものになるよう、「重症度、医療・看護必要度」の項目を変更することが考えられるとした。また在宅医療の評価では、患者の重症度に合わせた点数配分などがテーマになると指摘。中央社会保険医療協議会(中医協)で今後議論される定額負担の制度などについても、現段階での方向性を示した。【聞き手・佐藤貴彦】
宮嵜医療課長インタビュー・上-次期診療報酬改定に「3つの視点」
■7対1は軽症患者多いと算定できない仕組みに
-7対1の要件厳格化は、次の改定でも進められるのでしょうか。
7対1を算定する病床は、ほかと比べてあまりにも多いということで、14年度の改定でも要件が見直されました。その影響は現在調査中で、要件見直しの経過措置がほとんど終わる昨年10月1日時点の算定病床の数を、早ければ年度内に中医協で報告できるのではないかと思います。
その結果が分かる前なので、16年度改定で要件をどう見直すのかは何とも言えません。ただ、病院が7対1を算定する「順番」が逆にならないようにルールを整備することは、改定のテーマの一つになると思っています。
-順番とは、どういうことでしょうか。
重症な患者さんを診るには、手厚い看護配置が必要です。だから、そうした患者さんを手厚い看護配置で診ている病院の負担は、診療報酬で補てんしなければなりません。7対1の点数は、このために高く設定されています。
しかし、診療報酬にはインセンティブとしての性質があります。それで、順番が逆になってしまって、7対1の点数が高いから看護師を集めよう、病床が空いていると経営が成り立たないから、軽症の患者さんでも入れてしまおう、ということになっているとしたら問題です。そんなことは基本的にはないと思いますが、仕組みとして、それが起こらないようにすることも必要ではないでしょうか。
(残り2328字 / 全3238字)
この記事は有料会員限定です。
有料会員になると続きをお読みいただけます。
【関連記事】