【株式会社MMオフィス代表取締役 工藤高】
■毎年、12月は1日当たり入院単価が高くなる
2015年1回目の連載は、病院経営にとって「病床利用率」「平均在院日数」と共に経営指標3本柱と言える1日当たり入院単価について考えたい。急性期病院ではこれに「重症度、医療・看護必要度」(以下、看護必要度)、「在宅復帰率」、「DPC係数」が経営指標に加わってくる。
一方、年末年始に入院単価を下げる要因は正月の外泊だ。こればかりは患者本人や家族のことを考えると、一律に制限するわけにもいかない。ただし、急性期病院において小児の長期入院難病患者や成人の在宅復帰に向けた試験外泊を除いて、あまりに外泊が多いことは別の問題もあろう。そもそも外泊可能な状態の患者が多いならば超急性期は明らかに脱しているからだ。冒頭の病院では、在宅復帰に向けたお試し機会を利用してもらうために、外泊前のチェックリストを入念に準備していた。
年末年始は病床稼働状況が大きく変わるため、自院の入院単価を見詰め直す絶好の機会だ。以前、当連載16回目(「入院単価×病床利用率」で見る必要性)で、入院単価は疾患構成(ケースミックス)の影響を受けるため、他院との単純比較はあまり意味がないことを述べた。また、その記事で、入院単価のみを見るのではなく、病床利用率等の別の指標を合わせてみる重要性を挙げた上で、「ベッド当たり1日単価」というオリジナル指標を紹介した。今回は、疾患や入院経過日数などの切り口で入院1日単価を見ることにより得られる情報から、経営改善のきっかけを見つけてみたい。
次回配信は1月21日5:00を予定しています
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