2011年も、きょうを含めあと2日。東日本大震災をはじめとしたさまざまな天災に見舞われた今年は、医療・介護の世界にとっても激動の一年だった。そんな一年を象徴するニュースを集めた「2011年重大ニュース」をお届けする。(記事は配信時点での最新内容で、その後に状況が変化している場合があります)
3月11日午後2時46分、東日本大震災が発生。宮城県栗原市で最大震度7を記録した。青森県から千葉県の沿岸部には、最大で10メートルを超える巨大な津波が押し寄せ、壊滅的な被害が出た。死者数は1万5844人、行方不明者数は3468人(12月27日現在、警察庁調べ)。
被害が大きかった岩手、宮城、福島の3県では、地域医療の提供体制が根こそぎ失われた地区もある。宮城県石巻市の雄勝地区では、地域の拠点病院をはじめすべての医療機関が津波によって壊滅。10月に市立診療所が設置されるまで、定住する医師がいない“無医地区”となった。
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さらに、福島県内の医療機関や介護施設は、地震、津波、原発事故による三重苦に見舞われた。特に福島第1原子力発電所周辺の病院では、放射性物質による汚染を恐れて離職する医療従事者が相次いだ。これに伴い入院患者を受け入れられなくなった病院では、診療報酬が大幅に減り、経営が困難な状況に陥った。 県の調べでは、沿岸部の「相双地域」にある病院や診療所、訪問看護ステーションなどでは、看護職員が震災後に24.3%減少した(8月1日現在)。
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■診療報酬、ネットで2回連続の引き上げに
12年度診療報酬改定は、医師の人件費などに当たる「診療報酬本体」を1.379%引き上げることで決着した。医薬品や医療材料の公定価格である「薬価・材料費」は1.375%下げ、診療報酬全体では0.004%の引き上げ。介護報酬は1.2%の引き上げとなった。診療報酬全体では、10年ぶりの引き上げとなった10年度に続き2回連続でのアップ。診療報酬本体の引き上げに伴う財源5500億円は、病院勤務医など医療従事者の負担軽減・処遇改善などに重点配分する。 介護報酬との6年に一回の同時改定に当たり、中央社会保険医療協議会(中医協)による点数配分の議論では、医療と介護の連携も大きなテーマとなる。 東日本大震災は、診療報酬改定にも大きな影響を与えた。8月1-3日には、中医協委員が被災地を視察。それを踏まえ、被災地の医療機関向けの被災地特例加算新設の是非を議論したが、「補助金で対応すべきだ」といった慎重論が相次いだ。
また、日本医師会の執行部は4月24日の定例代議員会で、「被災地の医療復興を優先すべきだ」として、同時改定を見送るべきだとの考えを表明。5月19日、細川律夫厚生労働相(当時)に見送りを申し入れたが、実施の方針は覆らなかった。
診療報酬のプラス改定が決まると、日医は12月22日に緊急記者会見を開き、原中勝征会長が今回の決着を「95点くらい」と高く評価した。
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