
ドイツ証券医薬品シニアアナリストの舛添憲司氏
10月下旬から11月上旬にかけて相次いで発表された、国内製薬企業各社の2012年3月期第2四半期(4-9月)決算。各社のポイントと、12年度に控える診療報酬改定に向けた中央社会保険医療協議会(中医協)の議論の注目点を、ドイツ証券医薬品シニアアナリストの舛添憲司氏に聞いた。(津川一馬)
武田の印象はネガティブです。ナイコメッド社を買収した影響で、通期の営業利益予想を下方修正することは予想していました。実際、武田は3900億円から2700億円に下方修正しましたが、内訳を見ると、1200億円の修正分のうち、ナイコメッドの買収関連は650億円です。つまり、550億円はナイコメッドの買収がなくても下方修正したことになるわけで、これはネガティブですよね。550億円の要因の一つは円高ですが、それに加え、アクトスの売り上げが大きく減少していたことも響きました。
ナイコメッドの買収については、武田の株を買う理由にも売る理由にもならないと言ってきました。武田はお金を持っているので、それを使って将来成長のために投資し、もともと低かった欧州でのプレゼンスを上げていくのは当たり前のことです。一方で、ナイコメッドを買ったものの、パイプラインが必要だという課題は何も変わっていません。
アクトスの膀胱がんリスク問題については、フランスで販売中止になって、ドイツも追随し、日米で添付文書の変更があり、結果的に日米欧すべてで通期売り上げ予想を下げました。信頼性という意味で、やはり影響は出ています。日本では6月に後発品も発売されましたが、膀胱がんリスク問題が影響して、売れていないようです。その上、日本ではDPP-4阻害薬が頑張っているのも減少要因となっています。武田自身も昨年6月からDPP-4阻害薬のネシーナを発売していますが、53億円の売り上げは物足りません。
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