日本病院団体協議会(日病協)は2月4日、2012年度の診療報酬改定に向けた要望書を厚生労働省保険局に提出した。要望事項は、電子カルテなどIT導入に対する報酬加算など4項目。提出後の記者会見で、日病協の猪口雄二氏(診療報酬実務者会議委員長)は、「大きな線で、各病院が共通して思っていることを要望してまとめた。特にリハビリテーションについては中医協(中央社会保険医療協議会)でも議論が始まったので、それを日病協としても後押ししたい」と述べた。
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日病協が要望したのは、(1)標準化に適合した医療情報システムの整備と活用における診療報酬上の評価(2)同一日の同一医療機関複数科受診の診療報酬上の取り扱いの緩和(3)入院患者が他医療機関を受診した場合の診療報酬上の制限撤廃(4)「外来リハビリテーション」管理料の新設―の4項目。
このうち(1)について猪口氏は、個別に電子カルテなどを導入する医療機関があるものの、システムの標準化が進んでいないため互換性がないと指摘。その上で、「標準規格に適合したものを使うと報酬に加算されるシステムにすれば、メーカー側も動いていくのでは」と述べ、1日単位か1入院単位で診療報酬上の評価をするよう要望した。
(2)では、すべての診療科について初診料と再診料の区別なく、また減算することなく算定することを求めている。現在の診療報酬では、同一の医療機関で同じ日に複数の診療科を受診した場合には、初診料は2科目に限り135点(1科目は270点)に減額して算定。さらに再診として複数科を受診した場合は、再診料として1科目しか算定できないためだ。
(3)では、出来高払いか包括払いかを問わず、診療報酬上の制限を撤廃するよう求めている。現行制度では、入院患者がほかの医療機関の専門的治療を受ける場合には、包括払いの病棟では入院料の70%減、出来高払いの病棟でも30%減というルールになっている。猪口氏は、「診療側としてはずっと問題としてきたところ。議論の緒に就けたいという思い」と説明した。
(4)では、病態の安定した外来リハビリテーション患者に対し、医師が毎回診察しなくても「リハビリテーション処方せん」に沿って、リハビリテーションのみ行えるよう求めるもの。これについて猪口氏は、「状態が落ち着いた患者のリハビリに、1人の医師が付ききりになるのは無駄が多い。そうした場合には医師が診る必要はなく、再診料も不要だが、一定期間を医療が管理することに対しては点数を付けてほしい」と述べた。
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