中央社会保険医療協議会(中医協、会長=遠藤久夫・学習院大経済学部教授)は2月2日の総会で、在宅医療や訪問看護などについて有識者からヒアリングを行った。
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ヒアリングは、川島孝一郎氏(仙台往診クリニック院長)、秋山正子氏(ケアーズ白十字訪問看護ステーション代表取締役・総括所長)、秋山弘子氏(東大高齢社会総合研究機構特任教授)の3人から実施した。
川島氏は、患者が退院後に在宅復帰できない理由として、在宅医療に関する医療者側の説明不足を挙げ、医学生への教育の重要性を指摘。また、医療費全体(医科)に占める在宅医療費の割合が低いことから、在宅医療の効率性を強調し、在宅医療は「病棟機能の重要な補完システム」であるとした。
秋山正子氏は、廃用症候群の発症予防の観点から、高齢者の緊急入院の数を減らしたり、在宅に早期復帰させたりすることの意義を強調。急性期病院と訪問看護の連携については、退院時に在宅ケアチームへの円滑な情報の伝達・共有、そして退院直後の「介護力」の強化を図ることで、再入院を避けられるような体制づくりが必要とした。さらに、訪問看護師の増員に関しては、新人看護職の臨床研修の際、在宅での訪問看護の研修を入れることや、ワークライフバランスを踏まえた多様な勤務体制を設けることなどを提案した。
秋山弘子氏は、高齢者の自立度が男女共に70歳代前半を境に緩やかに低下する一方、今後、独居高齢者のさらなる増加などで社会が変化することを指摘し、住み慣れた場所で自分らしく年を取るためのまちづくりの重要性を強調した。
■在支診は「十分に機能していない」―川島氏
質疑応答で川島氏は、在宅療養支援診療所(在支診)について「十分に機能していないというのは、確かに現実としてある」と指摘。在支診の設置後に在宅での看取りが増加したことから、以前の制度よりは機能しているものの、「それをやろうとする人材は少ない」とした。
一方、秋山正子氏は「医療情報に関しては(医師と)よく連携を取るので、(訪問看護)指示書が要るか要らないかというところにいくと、いい関係に持っていく中では、指示書自体をなくす方向でもいいのではないか」との考えを示した。訪問看護の回数制限に関しては、「天井知らずになるとお考えだろうが、現在、医療費全体に占める訪問看護費の割合は2%で、マンパワーがまだまだ足りていない」と訴えた。
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