【石川県立こころの病院院長、日本公的病院精神科協会会長 北村立】
高齢化がピークを迎える2040年ごろを見据えた新たな地域医療構想(40年構想)では、入院医療にとどまらず、外来や在宅、医療・介護連携など幅広い議論が行われる。これは、「地域包括ケアシステム」とほぼ同義だと考える。40年構想に新たに加わることになった精神医療では、「精神障害にも対応した地域包括ケアシステム」を指す「にも包括」という言葉があるように、障害福祉や行政との連携も重要である。そのため、一般科と同じ協議の場では議論が難しく、精神病床数だけが地域医療構想の調整会議の俎上に載るのではないかと危惧している。
主に統合失調症や双極性障害など狭義の精神疾患を扱っていた昭和の時代から、発達障害、トラウマ関連障害、摂食障害、種々の依存症など、子どもから高齢者まで、多種多様な病態が対象となる令和の精神医療保健福祉は、地域の特性を生かしたきめ細かい対応が必要である。今回は地域医療構想の調整会議で検討すべき幾つかのテーマについて考えたい。
■精神医療の構想区域は拠点となる医療機関を中心に
厚生労働省は24年度から開始した第8次医療計画策定のポイントとして、多様な精神疾患や病態、病期ごとに
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