日本医師会総合政策研究機構が行った「日本の医療に関する意識調査」の結果によると、「かかりつけ医」が「いる」と答えたのは1,162人の56.9%だった。また、「かかりつけ医」がいる661人に、その医師を「かかりつけ医」としている理由を複数回答可で聞いた結果は、「住まいの近所だから」が53.4%で最も高く、「病気の主治医だから」も49.6%とほぼ半数を占めた。【兼松昭夫】
以下は、「身近で何でも相談できる」(36.8%)、「自分・家族の病歴をよく知っている」(18.3%)、「専門医・専門医療機関を紹介できる」(18.2%)などの順だった。
調査は2023年11月に実施。「かかりつけ医」がいるかどうかや「かかりつけ医機能」に望むこと、新型コロナウイルス感染症が5類感染症に変更された後の意識の変化などを、20歳以上の男女計1,162人に聞いた。
■「かかりつけ医」に望む役割、トップは「どんな病気でもまず相談」
調査結果によると、「かかりつけ医」がいるかどうかの質問には1,162人の56.9%が「いる」と答え、ほかは「いない」26.6%、「いないがいるとよいと思う」15.7%などだった=グラフ=。
「かかりつけ医」がいる人の割合は、17年、20年、22年の調査ではいずれも55%台で推移していた。日医総研では、「かかりつけ医」の必要性がコロナ禍に議論されたものの、「かかりつけ医」を持つ人の割合に「急激な変化が見られない」としている。
今回の調査で「かかりつけ医」が「いる」と答えた割合は、年代が上がるに連れて高くなり、「70歳以上」(353人)で81.9%を占めた。これに対し、「20歳代」(99人)では28.3%にとどまっている。
また、「かかりつけ医」がいない計492人に理由(複数回答可)を尋ねると、「あまり病気にかからないので必要ない」69.7%、「その都度医療機関を選ぶ」26.2%、「どのような医師が適しているか分からない」22.0%などの順だった。
「かかりつけ医機能」にどのような役割や機能を望むかの質問(複数回答可)では、「どんな病気でもまずは相談できる」を1,162人の75.0%が挙げ、これに「健康管理のための継続的な助言・指導」48.1%、「専門医・専門医療機関への紹介」46.6%などが続いた。
また、「かかりつけ医」に関する情報ごとに、「かかりつけ医」を探すために必要かどうかを尋ねると、「得意とする治療分野」で「必要」とする割合が最も高く、計93.4%を占めた。
以下は、「連携している医療機関」計93.1%、「診療実績」計87.9%などの順で、日医総研では、実際に受けられる診療に関する具体的な情報への要望が強い傾向だとしている。
■医療情報ネットの認知度20.3%
一方、医療機関の待合室などで感染症に感染する不安を感じるかどうかの質問で、「不安」と答えたのは計42.7%で、20年7月に行った調査の計69.3%から26.6ポイント低下した。
また、医療へのニーズと将来への期待に関する質問のうち、これまで都道府県ごとに運用されてきた「医療機能情報提供制度」(医療情報ネット)を知っていたのは20.3%にとどまった。全体の73.9%はこの制度を「知らない」と答え、日医総研では、認知度の向上と情報の充実が求められるとしている。
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