【北海道介護福祉道場 あかい花代表 菊地雅洋】
2023年5月に成立した介護保険制度改正関連法の中には、「介護予防支援について、地域包括支援センターに加えて、居宅介護支援事業所も市町村からの指定を受けて実施できることとする」という内容が含まれている。
この改正は、地域包括支援センターが老々介護や介護離職・ヤングケアラーなど多様化する地域の介護問題に迅速かつ的確に対応するため、予防プランの作成業務を減らして、その他の地域支援事業にシフトさせたいという意味でもある。
21年度の報酬改定時もこのことは論点の一つとして取り上げられ、予防支援費に委託連携加算(300単位)が新設された。だがこの加算は委託した月のみにしか算定できず、わずか3,000円の増収にしかならないことから算定率は著しく低い。つまりこの加算を目当てに予防プランの受託を増やす居宅介護支援事業所は非常に少なかったという意味である。
そのため、今回は制度改正として予防支援事業所の指定そのものを居宅介護支援事業が受けられるようにしたものである。
24年度の報酬改定で居宅介護支援費の逓減制の再緩和が行われることも、基準改正でモニタリング訪問の2回に1回はテレビ電話などで可能とすることも、すべて居宅介護支援事業者が予防支援事業の指定を受けて、介護と予防の両プランを作成しやすくするための方策であるともいえる。そこにはできるだけ指定介護予防支援事業所の指定を受ける居宅介護支援事業所が増えてほしいという国や市町村の意図も見えてくる。
問題となるのは予防介護支援費の額がいくらに設定されるかということであったが、その額が1月22日に公表され下記のような算定額となった。
<改定前>
介護予防支援費:438単位
<改定後>
介護予防支援費(I):442単位※地域包括支援センターのみ
介護予防支援費(II):472単位(新設)
※指定居宅介護支援事業者のみ
また、介護予防支援費(II)を算定する場合に限り、次の加算を算定できるとされた。
・特別地域介護予防支援加算:所定単位数の15%を加算(新設)
※別に厚生労働大臣が定める地域に所在
・中山間地域等における小規模事業所加算:所定単位数の10%を加算(新設)
※別に厚生労働大臣が定める地域に所在し、かつ別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合
・中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算:所定単位数の5%を加算(新設)
※別に厚生労働大臣が定める地域に居住している利用者に対して、通常の事業の実施地域を越えて、指定介護予防支援を行った場合
居宅介護支援事業所が予防プランを作成する場合の報酬が、地域包括支援センターの報酬より30単位高い理由は、
(残り1510字 / 全2622字)
この記事は有料会員限定です。
有料会員になると続きをお読みいただけます。
【関連記事】