【元松阪市民病院 総合企画室 世古口 務】
病院では毎年4月、医師や看護師、薬剤師、検査技師、放射線技師をはじめ、いろいろな職種の新人職員が勤務し始めます。そして、多くの人は急性期病院で勤務するため、診療報酬制度とDPCの知識が直ちに必要になります。しかしながら、どの職種も大学、専門学校の教育プログラムでは基本的にそれぞれの専門職のスキルや知識に焦点を当てており、診療報酬制度、DPCについてはほとんど教育されていません。
2022年までメデイカル・データ・ビジョン社と共に長年、「病院経営戦略セミナー」を全国各地で展開してきました。このセミナーへの参加病院に対し、新人職員のDPCに関するアンケートを実施したところ、DPCに対する新人研修を毎年実施している病院は、37-55%でした=資料1=。 (残り4024字 / 全5120字) 次回配信は10月20日5:00を予定しています
逆に新人職員に対してDPCの研修を実施していない病院は32-52%。毎年、DPC研修を実施している病院でも、問題は、誰がどのような内容の研修を実施しているか、であります。特に公立病院ではいろいろ問題があると思います。新人職員もDPCの基本を正しく理解しておくことが、病院経営のポイントになると思います。
新人職員に対してDPC研修を実施する際の問題点とポイントを説明します。
■ポイントその1 誰が講師を務めるか
公立病院では、定期的な異動があるため、事務部門の同じ人が新人職員に対するDPC研修の講師を毎年務めることができないということが大きな問題となります。できれば、病院経営、DPCに詳しい医師に毎年講師を務めてもらうといいでしょう。
■ポイントその2 いつ頃実施するか
4月からの勤務だと思いますので、新人職員のDPC研修は、日本の医療制度、診療報酬制度と共にできるだけ早い時期に実施することをお勧めします。
■ポイントその3 DPCのどのような内容を話すか
1カ月前まで学生であった人が大部分であり、医療現場で初めて仕事をする人にとって、制度の難しいことは理解できませんから、あくまでDPCの基本、DPCの必要性、重要な点のみを説明することが基本です。毎年、新人職員に対するDPC研修を実施している病院でも、非常に専門的な内容の話をしている病院が多いように思います。私も新人職員のDPC研修を担当していましたが、研修会の冒頭に「本日のDPC研修は、毎年実施していますから、興味があれば来年も参加してください。今年よりも理解度が高まると思います。DPCについては、何回か話を聞けば誰でも理解できますので難しく捉えるのでなく、安心して聞いてください」と話していました。
具体的に私がこれまで実施してきた内容を提示します。
この記事は有料会員限定です。
有料会員になると続きをお読みいただけます。
【関連記事】