【株式会社メディチュア 代表取締役 渡辺優】
■急性期充実体制加算の病院経営への改定インパクト
2022年度診療報酬改定で新設された急性期充実体制加算は、24年5月1日現在、届け出施設が245まで増えた=グラフ1=。
急性期充実体制加算の届け出を行っている245施設は、総合入院体制加算から切り替えたところが多くを占めている。具体的には、総合入院体制加算1から40施設、総合入院体制加算2から135施設、総合入院体制加算3から37施設が、それぞれ急性期充実体制加算に切り替えている=グラフ2=。また、22年度改定以前には総合入院体制加算を届け出ておらず、新たに急性期充実体制加算を届け出た所が33施設ある。総合入院体制加算は小児科や産科・産婦人科を標榜し、入院医療を提供している必要があるため(ただし、地域医療構想調整会議で合意を得た場合に限り、標榜・提供していなくてもよい)、届け出を断念していた所があると認識している。 (残り1653字 / 全2520字) 次回配信は8月7日5:00を予定しています
グラフ2で示すように、総合入院体制加算から急性期充実体制加算へ切り替えが進んだのは、診療報酬上の点数設定にある。
出来高で算定する場合、総合入院体制加算は1日当たり加算1が240点、加算2が180点、加算3が120点(各14日目まで)であるのに対し、急性期充実体制加算は、7日以内が460点、8日から11日が250点、12日から14日までが180点となった(22年度改定時)。なお、急性期充実体制加算や総合入院体制加算を届け出る施設はDPC算定の患者が大半で、総合入院体制加算は機能評価係数Iに組み込まれるため、出来高で算定するケースは多くない。しかし各加算の点数を単純に出来高算定で14日目までの累積点数で比較すると、急性期充実体制加算は、総合入院体制加算を大きく上回る点数となっている=グラフ3=。特に着目すべきはグラフ右の7日目までの累積点数である。急性期充実体制加算と総合入院体制加算の累積点数が2倍近い開きになっている。7日目までの点数が手厚い急性期充実体制加算は、病床高回転に対し大きなインセンティブがある。
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