福祉医療機構(WAM)が公表した2018年度の通所介護事業所の経営状況分析によると、事業の収益性を示す指標となる「サービス活動収益対サービス活動増減差額比率」が、事業規模別の平均で2.1-12.6%とばらつきがあった17年度に比べて、3.2-9.5%へと改善した。基本報酬の時間区分見直しにより、サービス提供時間が長時間へシフトするなど、18年度介護報酬改定で掲げられた「基本報酬について、介護事業経営実態調査による収支差率等の実態を踏まえた上で、規模ごとにメリハリをつけて見直す」という政策目的が、現実のものになった結果との見解を示した。【齋藤栄子】
■赤字割合は17年度と同水準の約4割で、地域密着型は厳しさ続く
WAMは毎年度、貸付先の財務諸表データを用いて分析・報告している。分析した事業規模別施設数は、地域密着型(定員18人以下)679、通常規模型(定員19人以上で前年度1月当たり延べ利用者数750人以内)3211、大規模型(I)(同延べ利用者数751人以上900人以内)259、大規模型(II)(同延べ利用者数901人以上)174。サービス活動収益対サービス活動増減差額比率は、これまでも事業規模が大きいほど高い傾向にある=表1=。
表1 サービス活動収益対サービス活動増減差額比率(%)
※WAM資料より作成(以下同)
一方、地域密着型の赤字割合は、17年度と同水準の約4割で厳しい経営状況にある。さらに、大規模型2区分の赤字割合が大きく上昇し、それぞれの約4分の1が赤字だった=表2=。
表2 赤字割合(%)
地域密着型は定員規模が小さいため、4区分の中で人件費比率が最も高い。安定した経営のためには収益の確保が必要だが、黒字施設は赤字施設を年間営業日数で約9日、利用率で約11ポイント上回り、年間のサービス活動収益は約709万円の差があった。他の事業規模でも黒字・赤字施設比は同様の傾向にあり、利用率の明確な差があった。
■18年度改定の影響
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