【久留米大学 特命教授(医療政策担当) 佐藤敏信】
2月7日の中央社会保険医療協議会(中医協)の総会では、点数入りの答申書が提出され、後半戦もヤマを越えた。
さて、この答申書を含めての今回の診療報酬改定、要約するとどうなるだろうか。
7日のテレビ、翌8日の新聞各紙の見出しは「かかりつけ医普及へ一歩」だった。この膨大な答申書の要約が、「かかりつけ医~」なのだろうか。しかもその中身を見ると、過去数年にわたって聞かされ続けた、紹介状のない場合の病院の初診の定額負担、高齢者の窓口負担割合、薬剤費の自己負担の話だった。
しかし、これらは点数入りの答申書が公表されたこととは直接的には関係がない。多少は関係があるとしても、タイムリーな記述とは思えない。マスコミ各社が、読み込んで見出しを付け、意味を理解した上で内容を掲載していないことが、図らずも露呈してしまった。
もちろん診療報酬がカバーする範囲は膨大だ。それがどれほどか。多くの例外条項や区分の枝分かれがあるので、どう数えるかにもよるが、医科診療報酬で約4000区分、歯科で約1300区分、調剤で約70区分、薬価収載品目で約2万品目である。公表されたからといって、それらを隅々まで読み込むことは不可能という点で、マスコミにも同情の余地はある。このほか、病院か診療所か、どんな診療科なのかによって、それぞれの医療関係者の重視しているポイント、領域も違うだろう。今回で言えば、介護との連携部分に着目している方もいるだろう。そうした中、個別の点数の意義や留意点については、既に業界紙でそれぞれの読者層に向けて、詳しい解説・解釈が始まっている。
紙幅が限られていることもあり、今回の診療報酬改定の幾つかの要点のうち、とりわけ私が気になったことに焦点を絞って話を進めたい。
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