2018年度診療報酬改定で、入院している難治性の精神疾患患者の地域移行が促進される可能性が出てきた。26日に開かれた中央社会保険医療協議会(中医協)の総会で、個別改定項目などが議論され、精神療養病棟入院料などについて、治療抵抗性統合失調症治療薬のクロザピンの薬価料を包括範囲から除外する方向性が固まった。クロザピンを出来高払いにすることで処方率を高める狙いがある。厚生労働省は、精神病床における平均在院日数の短縮や地域移行につなげたい考えだ。【新井哉】
■先行国と比べて低い日本の使用率
クロザピンは、従来の治療薬では効かない治療抵抗性の統合失調症を治療するもので、世界各国で使用されている。治療抵抗性の統合失調症患者の約30-70%に症状の改善が見込めるが、無顆粒球症などの重大な副作用が生じる可能性があるため、血液内科との連携や患者のモニタリングなどが不可欠だ。ただし、国内では課題がある。クロザピンの処方が先行している国では、使用する患者の割合は25-30%程度である一方、「日本は0.6%にとどまっている」(厚労省)という。
なぜ、国内ではクロザピンの処方が進まないのか。厚労省は、クロザピンが精神療養病棟入院料の包括範囲に含まれていることが、普及を阻んでいる要因の1つとみている。同入院料では、一部の薬剤を除き、薬剤料や検査の費用が入院料に包括されている。
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