厚生労働省は、医師偏在対策について、無床診療所の開業規制に関する課題を取り上げ、検討会などで議論する方針を決めた。憲法で保障された営業の自由との関係を整理する必要があるほか、規制を導入した場合、駆け込みで開設することが懸念されており、厚労省は難しいかじ取りを迫られそうだ。【新井哉】
■都市部に偏る無床診療所の開設
外来患者の約6割が受診する無床診療所については、その開設が都市部に偏っている。人口10万人当たりの診療所数を比較すると一目瞭然だ。東京都内の一部の区域では248.8施設あるが、北海道の根室市は26.5施設となっており、最大で10倍近い開きがある。
こうした課題を踏まえ、厚労省の「医療従事者の需給に関する検討会」の分科会が昨年11月、既に充足している診療科を想定し、無床診療所の新規開設を制限する新たな枠組みについて議論したが、賛否両論があり、意見がまとまらなかった。
厚労省は、こうした議論などを基に無床診療所の開業規制を行う場合の課題をまとめた。課題の1つに挙げたのが、「駆け込み開設」への懸念だ。
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